新しいがん診断 「全身MRI検査」ドゥイブス
医師 若杉慎司
MRIによる新しいがん診断の方法をご紹介します。
「全身MRI検査」ドゥイブスと呼ばれるものです。
がんの診断には画像診断や血液での検査が用いられています。
画像診断はレントゲン、超音波、内視鏡、CT、MRIで行われなます。
・レントゲン
胸部撮影 肺がん
バリウムを用いた胃透視検査 胃がん
膵管と胆管に造影剤を注入するERCP 膵がん、胆管がん
尿に排泄される造影剤を用いたDIP 腎がん、尿管がん、膀胱がん
・内視鏡
上部内視鏡 食道がん、胃がん
下部内視鏡検査 大腸がん、直腸がん
気管支鏡 肺がん
鼻咽腔、喉頭・咽頭の内視鏡 鼻腔・咽頭・喉頭のがん
・超音波
腹部超音波検査 肝がん、胆のうがん、胆管がん 膵がん 腎がん 前立腺がん
経腟超音波検査 卵巣がん 子宮がん
内視鏡超音波検査 膵がん 胆管がん
乳房超音波検査 乳がん
頸部超音波検査 甲状腺がん
・CT MRI
全身の部位別に各臓器を特定してがんを診断する
胃がん、大腸がんなどの管腔臓器は分かりにくい
CTは被曝がある
MRIは入れ墨や体内に金属がある場合は適応外
・腫瘍マーカー
がん細胞から分泌されるタンパク、ホルモン、酵素を測定する検査
がんの進行に伴い上昇するので進行度の目安になる
特定されるのは進行がんの4割で早期がんは診断できない
がんがなくても上昇することがある
一つのマーカーが多種のがんで上昇するので追加で部位の特定が必要
・PET
がん細胞がブドウ糖を多く消費することから、ブドウ糖に標識を付けてがんに集簇したものを画像にとらえてがんを診断する
全身を一度に検査できる
炎症がある部位も写ってしまう
糖尿病がある場合は検査できない
胃がん大腸がんは診断しにくい
・マンモグラフィー
乳がんに特化した検査
乳がんを早期に診断できる
挟んで検査するのでやや痛みを伴う
日本女性に多い高濃度乳房では診断しにくい
それぞれ長所短所があります。
ドゥイブスはMRIを用いたがん検査です。
がん細胞で細胞同士の隙間が少ないことを利用しています。
PET同様に全身を一度に検査できる
PETは全身CTを同時に行い被曝があるがドゥイブスでレントゲンを用いず被曝がない
食事制限が必要ない
糖尿病でも検査を受けられる
乳がん検診を痛みなく受けられる
がん治療の評価に有用
とメリットがたくさんあります。
一方でデメリットもあります。
普及率が低くまだ受けにくい
費用が10万円ほどと高額
MRIなので入れ墨や体内に金属がある場合は適応外
まだ新しい検査で十分な検査制度の検証は行われていませんし、がん検診でには含まれず自費診療になります。
PETに比較して低コストなので人間ドックや検診への取り込みが進んでゆくかもしれません。