前立腺がんは治りやすい病気です
医師 若杉慎司
宮本亜門(61)さんが前立腺がんであることを公表し、手術を含めた闘病を開始したことを報告されました。
前立腺がんのポイントを解説させていただきます。
1、男性は50歳を超えたら健診のオプションでPSAを年に一度検査しましょう
一般的にがんの検査で腫瘍マーカーでのがんの診断率は高くはありません。
まず早期がんでは正常値を外れません。進行がんでも3割から4割くらいでしか異常値を示さないのです。
早期がんの診断には以下が適します。
・胃がん 胃カメラ
・大腸がん 大腸カメラ
・肺がん 胸部CT
そして前立腺がんのPSA検査です。
腫瘍マーカーで早期がんが診断できるのは前立腺がんだけです。
正常値は4ng/mLまでです。
4から10ng/mLでは前立腺肥大症が疑われます。20~30%にがんが見つかります。
10を超えるとがんを疑います。
10~20ng/mlは35-42%、20ng/ml~は53-75%と言われています。
しかし、正常値でもがんのことはありますので注意を要します。
がんは早期で腫瘍が大きくなく、転移のない状態で診断することが重要です。
採血検査の腫瘍マーカーで診断できるのですから、該当年齢になったら是非受けたい検査です。
単独では2000円くらいからで検査できます。
CEA、CA19-9、AFPの腫瘍マーカーとセットで受けることが多いようです。
2、前立腺がんは頻度の高いがんです
胃がん、大腸がん、肺がんと並んで約8万人が発症しています。
50歳を超えると急激に増加します。
ピークは70から80代です。
70代後半になると実際にはほとんどの男性の前立腺にがん細胞はあると言われています。
症状が出にくいので診断されていないと考えられます。
前立腺がんは身近な病気です。
3、症状が出にくく自覚症状はあてになりません
他のがんについても言えますが、早期では症状が出にくくかなり進行しないと気付かないことが多いのです。
前立腺がんは外周から発症するので、尿道が狭くなって排尿j困難になったり血尿が出るのはかなり進行してからになります。
前立腺がんは進行すると皮膜を破って膀胱や直腸に浸潤してゆきます。そうすると血尿や血便が見られることがあります。
遠隔転移としては骨転移があります。骨に痛みがあって診断されることもあります。
ただ、ここまで進行する前に診断されることが多く、死亡する確率は最も低いがんでもあります。
4、生存率は高いがんです
5年生存率はステージⅢまではほぼ100%になります。
発病が8万人近くいますが、死亡数は1万2千人ほどです。
前立腺がんは診断しやすく死亡することが少ないがんです。
早期に診断できれば治療は軽微になり合併症も少なくなります。
人間ドックや通常の自治体や健保組合のがん検診ではPSAが含まれていないことが多いのが現状です。
ついでにオプションで追加出来ることが多いので50代になったら是非お受けになってください。