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がん検診はなぜ必要なのでしょう②

2020.09.29 ガン タバコ 人間ドック 医学一般

2、各がんの5年生存率
5年生存率はがんを発症して5年経った時点での生存している確率です。
高いほど治りやすいがんと言え、低ければ悪性度の高いがんと言えます。
下の表で相対生存率が目安になります。

 

がん 生存率 3
共通して言えることは、がんの進行度が低いほど生存率は高まるということです。

消化器がんでは胃がん、大腸がんは7割と比較的高い生存率で治りやすいと言えます。早期では9割を超えますがⅣ期では1から2割と下がってしまいます。
40歳を超えてがん検診を受けていてⅢ期以上になることはまずありませんから、やはり検診は重要です。
食道がんは4割ほどで治りにくいと言えます。原因は喫煙と飲酒です。喫煙率の減少でこれもこれからは減っていくがんです。これまでの胃のバリウム検査では食道の早期がんを見つけることはできません。胃カメラであれば早期に診断できますので、胃カメラの普及で早期診断のチャンスは増えることでしょう。
膵がんは1割で最も治りにくいがんです。現在の検診を含めた検査でも早期診断は極めて困難です。新しい診断方法の確立が望まれます。
肺がんは男女併せて7万人の死亡数でがん死の第一位です。早期で診断されることは少なく治癒の困難ながんです。リスクの高い方での胸部CTが普及すれば改善してゆくでしょう。
肝がんはがんになる前に肝硬変になっていることが多く、肝機能障害、食道静脈瘤、出血傾向、腹水などが合併します。治療は塞栓療法、ラジオ波、手術、凍結療法などさまざまありますが、5年生存率は4割で低い部類になります。
乳がんは検診で見つかりやすく、自己検診もあるまれながんです。9割を超えますから最も治りやすいと言えます。検診を受けて最小限の治療のとどめることが肝要です。
子宮がんは頸がん、体がんで7割から8割です。比較的治りやすいですね。問題は頸がんが30代、体がんが40~50代が好発年齢で若いうちに発症することです。けしてがんは年寄りの病気ではないことを忘れないようにしなくてはならないでしょう。
前立腺がんでは9割を超え乳がん以上に治りやすいと言えます。骨転移を発症する前に診断することが重要です。PSAの検査だけで検診は済みますので50歳を超えたら年に一度受けましょう。

3、がん死亡数
男性では肺がんが、女性では大腸がんが一位を占めています。
肺がんと胃がんは喫煙が関与しますので発症も死亡数も男性に多い傾向です。現在肺がん胃がんを発症している世代は喫煙率は男性が7割以上、女性が1割でした。男性の喫煙率は現在3割まで減少しているのでいずれの発症も少なくなります。
大腸がんの発症の多いことは知られてきており、検診や大腸カメラの受診率は増加しています。開業医で大腸カメラ専門の施設が急速に増えていることは望ましい傾向です。
すい臓がんは早期診断は極めて困難です。血液検査での診断が研究段階ですが成果を上げているので普及が望まれます。
4、最後に
日本人の命を奪っているがんの多くは予防可能で検診での早期診断ができるものです。
がんでの死亡の過半数はそれを怠ったことによると言えるのです。
子宮頸がんの受診率は低く、がん発症の増える60歳を超えてのがん検診受診率は4割に満たないのが現状です。
わずか20年前まで胃がん、大腸がん、肝がん、子宮がんは予防を十分にできる体制がありませんでした。
現在ではすべてのがんにおいて治療、延命が大幅に期待できるようになってきました。
年間に1700万円掛かるオブジーボに代表されるようにがん治療は高額です。
入退院をが数年に及ぶことも稀ではありません。
がんを発症すると4割が離職しています。
予防をして検診で早期診断すれば状況は全く違ったものになります。

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