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ー肺がんは初期に発見できれば完治も可能ー

2018.10.11 未分類

【肺がんは「早期発見」がとくに重要】

 落語家の三遊亭円楽さんが、肺がんを患っていることを公表しました。

 約1週間、すべてのお仕事を休み、治療に専念すると話されています。

 ここで多くの方が疑問を持たれたと思います。

 「復帰までの期間がわずか1週間で、肺がんを治療できるの?」

 この先、治療がどのように進められていくのか、詳細は公表されていません。円楽さんのすばらしくウィットに富んだ落語のファンとしては、今後の成り行きを見守り、応援することしかできないのでしょう。ただ、医者としてわかることは、円楽さんの肺がんが初期で発見されたことの「幸運」です。初期であったからこそ手術もでき、短い期間での治療計画が成り立つのです。

 円楽さんは「いろいろ検査をやっているなかで、お医者さんが見つけてくれた」というようなコメントをしています。肺がんは、致死率の高いがんであるにもかかわらず、初期では自覚症状がほぼありません。ですから、検診にてきわめて早期に発見できるか否かによって、その後の未来が大きく違ってくるのです。

【死亡数が圧倒的に多いがん】

 肺がんは、発症者数も多く、死亡数も多い病気です。

 男性のがんで罹患数の多いトップスリーは、

「1位 前立腺がん」「2位 胃がん」「3位 肺がん」

の順番です。

 女性の場合は、

「1位 乳がん」「2位 大腸がん」「3位 肺がん」

と並びます。

 一方、死亡数はどうでしょうか。男性の場合のトップスリーは

「1位 肺がん」「2位 胃がん」「3位 大腸がん」

と並びかわるのです。

女性の場合は、

「1位 大腸がん」「2位 肺がん」「3位 胃がん」

 となります。

 このことからわかるのは、発症者数が多いがんほど、死亡者数も多い、とはならないことです。がんには、その性質から、生存率の高いものとそうでないものがあるということです。

 あらゆるがんのなかで、肺がんは、もっとも治療が難しいがんです。年間、約13万人以上が発症し、約8万人が亡くなっているのです。男性のがんでいちばん多い前立腺がんは、罹患数が年間約10万人に対し、死亡数は約1万2千人。女性のがんでいちばん多い乳がんは、罹患数が年間約9万人に対し、死亡数は約1万4千人。これらの数字と単純に比べるだけでも、肺がんの死亡数は圧倒的に多いことがわかるでしょう。

【なぜ、肺がんは治療が難しいのか】

 「5年生存率」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。病気が診断されてから、5年経過後に生存している患者の比率を示す数字のことです。

 肺がんの場合、5年生存率は2割から3割です。

 発症者数の多い胃がんや大腸がんの5年生存率は、7~8割です。

 このことからも、肺がんの治りにくさをおわかりいただけるでしょう。

 なぜ、肺がんは致死率が高くなってしまうのでしょうか。

 がんにおいて、手術によって病巣を切除することは大事な治療法です。抗がん剤や放射線治療も多くの場合行われますが、それだけで完治させるのは難しいのが現状です。

がんの完治には手術が必要なのです。

 ところが肺がんは、手術できないケースが多くなります。患者さんの3人に2人は手術ができないのです。なぜでしょうか。

 最大の理由は、肺がんと診断されたときには、手術できる期間をすでに過ぎてしまっていることにあります。以下のようなことがあれば手術は極めて困難になります。

・肺がんが心臓の周りの血管や胸膜、肋骨、背骨に浸潤ししみ込むように広がった場合

・肺がんの原因は喫煙が一番ですが、喫煙によってCOPD(肺気腫、慢性気管支炎)が進行して肺の機能が減少すると手術して肺を切除した残りの肺では十分な呼吸ができない場合

・がんは進行すると転移をします。肺がんの細胞が肺内部、骨、肝臓、脳などに転移が確認された時

初期の肺がんに自覚症状はほとんどないことはお話ししました。主な自覚症状は、長引く咳や息切れ、息苦しさ、胸の痛み、体重の減少、たんがよく出る、血のまじったたんが出るなどです。肺がんは進行が早く、こうした自覚症状が現れたときにはすでに、転移しているケースが多くなります。
症状が出る前に診断をすることが求められます。

肺がんの種類と特徴はこちら
  

【どんな検査が有効なの?】

 肺がんを初期で診断するには、検査が必要です。

 ただ、ここが難しいところなのですが、通常の健康診断では、胸部レントゲンしか撮影しません。胸部レントゲンで診断できる肺がんの大きさは、多くの場合、直径3センチ以上です。しかし、肺がんの場合、直径が3センチ以上になってしまうと、治癒は残念ながら難しくなります。3センチ以上に育った肺がんの場合、すでにほかに転移している可能性が高くなっているからです。治癒率を高めるためには、直径2センチ以下での発見が重要なのです。

 では、どうすればよいのでしょうか。

 初期の肺がんは、ヘリカル胸部CT(コンピューター断層撮影法)によって見つかっています。CTとは、放射線を当てて、体の断面の画像を撮影するという検査の方法です。簡単に説明すれば、肺を輪切りにしたような写真を細かく撮影していき、小さながんをさがし出していくという検査方法です。

この検査であれば、直径2センチ以下での発見が可能になります。三遊亭円楽さんも、おそらく、胸部CTによって初期がんを見つけられたのでしょう。

胸部CTは費用もかかるため、受けるかどうか迷われる方は多いと思います。ですが、以下の項目にあてはまる方は、肺がんの発症リスクが考えられ、胸部CTの受診が望まれます。

1.喫煙年数×喫煙本数(ブリンクマン係数)が400を超えている人

2.職場や家庭で受動喫煙がある人

3.20歳未満から喫煙している人

4.親族に肺がん患者が多い人

5.車の運転を仕事としていて、排気ガスを吸う時間が多い人

6.マージャンやパチンコが好きで受動喫煙が多い人

 円楽さんは、こんなメッセージも私たちに投げかけています。

「2人に1人はがんという時代だから、積極的に治療していきましょう。積極的に生きていきましょうということです」

致死率の高い肺がんであっても、初期に発見できれば、完治が期待でき、その後も元気にに生きることができるのです。

関連リンク
http://www.mdcexam.net/found/cancer/lung_cancer.html

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